「ハワイのコンドミニアムを、将来子どもにどう引き継げばいいの?」「親が持っていたハワイの物件を相続することになった」。日本にお住まいのオーナー様やご家族から、ご相談をいただくことが増えています。
ハワイの不動産の相続には、ハワイの手続き、アメリカ(連邦)とハワイ州の税金、そして日本の相続税が関係します。この記事では、全体の流れと、生前にできる備えを、法律や公的な資料をもとに整理しました。
この記事は一般的な情報のご紹介で、法律・税務の助言ではありません。実際の手続きや税額はご家族の状況によって大きく異なります。必ずハワイの弁護士と、日米の税理士にご相談ください。
全体像:名義の持ち方で、手続きが変わる
ハワイの手続き
名義を相続人に移すための手続き。何も備えがなければ、裁判所でのプロベート(検認手続き)が必要になることがあります。
アメリカの税金
米国内の資産が一定額を超えると、連邦の遺産税の申告が必要です。ハワイ州にも遺産税があります。
日本の相続税
日本にお住まいの相続人は、海外の不動産も含めて日本で相続税の対象になります。
相続した物件の売却
売却するときは、FIRPTAなどの源泉徴収と、日米の申告が必要です。
ハワイの手続き:プロベート(検認手続き)
亡くなった方の単独名義で、生前の備えがないハワイの不動産は、相続人に名義を移すために、ハワイの裁判所での手続きが必要になるのが一般的です。日本にお住まいだった方の場合、ハワイで行うこの手続きは「付随的な検認手続き(アンシラリー・プロベート)」と呼ばれます(HRS §560:4-207)。
手続きでは、遺産を管理する人格代表者(パーソナル・リプレゼンタティブ)が選ばれ、遺産を整理して相続人に分配します(HRS §560:3-703)。ハワイ州内の遺産が10万ドル以下の場合に使える簡易な手続き(宣誓供述書)もありますが、対象は預金や動産などで(HRS §560:3-1201)、ハワイの不動産は通常この金額を超えるため、多くの場合はプロベートが必要になります。

生前にできる備え
相続人の負担を軽くするために、生前に準備できる方法があります。どれが合うかは、ご家族の状況や日本の税金との関係で変わるので、必ず弁護士・税理士とご相談ください。
TODディード(死亡時譲渡証書)
- 亡くなったときに受け取る人を、あらかじめ指定しておく証書(HRS §527-5)
- 亡くなる前に登記しておく必要がある(§527-9)
- 生きている間は、売却やローンも自由にでき、いつでも取り消せる(§527-12)
共有名義・信託
- 共有名義には「合有(ジョイント・テナンシー)」や、夫婦などに限られる形態がある(HRS §509-2)
- 撤回可能な信託(リビング・トラスト)を使う方法もある
- 合有では、共有者の一人が亡くなると、その持ち分は残った共有者に移るため、その時点ではプロベートは通常不要。ただし最後の一人が亡くなったときは必要になることがある
- 信託に移してある不動産は、信託の定めに従って引き継がれ、プロベートを経ないのが一般的
- 税金への影響は形態ごとに異なるため、名義を変える前に専門家に相談を
アメリカ(連邦)の遺産税
米国籍でもアメリカ居住者でもない方が亡くなった場合、米国内にある資産(ハワイの不動産を含む)の価額などが6万ドルを超えると、遺産税の申告(Form 706-NA)が必要になります(IRS)。申告期限は、亡くなってから9か月です(Form 706-NA 説明書)。
日本とアメリカの間には遺産税に関する条約があり、日本に住所がある方は、世界全体の財産に占める米国の財産の割合に応じて、米国の遺産税の控除を受けられる場合があります(条約を使うときは、申告で開示が必要です)。
ハワイ州の遺産税
ハワイ州には、相続税や贈与税はありませんが、遺産税があります。ハワイ州外にお住まいだった方でも、ハワイにある財産は対象になります。米国籍でも居住者でもない方の場合、課税対象の遺産が6万ドル以下なら、州の申告は不要です(ハワイ州税務局 Form M-6 説明書)。
$5,490,000
ハワイ州の遺産税の基礎控除
州外の方はハワイの財産の割合に応じて調整
10〜20%
税率(課税額に応じた累進)
申告期限は9か月
日本の相続税
相続のときに日本に住所がある相続人は、原則として取得したすべての財産が日本の相続税の対象になります。ハワイの不動産も含まれます(国税庁 No.4102・No.4138)。
- 基礎控除:3,000万円+600万円×法定相続人の数
- 申告と納税の期限:亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内
- 二重課税の調整:アメリカで納めた遺産税などは、一定の範囲で日本の相続税から差し引ける制度があります(外国税額控除・相続税法第20条の2)
- 海外の不動産の評価:日本の路線価がないため、売買の実例や鑑定評価額などを参考に評価します(財産評価基本通達5-2)
相続した物件を売るとき

アメリカの所得税では、相続した不動産の取得価額は、原則として亡くなった日の時価になります(IRS)。売却するときには、FIRPTAの源泉徴収や日米の申告が必要です。詳しくは「ハワイの不動産を売却するときの税金と流れ」をご覧ください。
相続した物件を売るか、持ち続けるか、貸し出すかを考えるときは、まず今いくらで売れるかを知ることが役に立ちます。ハワイにいらっしゃらなくても、査定や現地の確認は私がお手伝いします。
よくあるご質問
日本の相続税とアメリカの遺産税は、両方かかりますか?
両方の対象になることがあります。二重課税を調整するしくみ(日本の外国税額控除や日米の条約)があるので、日米の税理士に早めにご相談ください。
プロベートが必要かどうかは、どうやってわかりますか?
名義の持ち方(単独名義か、共有か、信託か)や、TODディードの有無で変わります。登記の内容を確認したうえで、ハワイの弁護士にご相談ください。登記の確認は私もお手伝いできます。
相続した物件はすぐに売れますか?
売却には、相続人に売る権限があることを示す必要があり、プロベートが必要な場合は人格代表者が選ばれてから売却を進めます。査定や室内の確認、片付けなどの売り出しの準備は並行して進められますが、売買契約への署名は、人格代表者が正式に選ばれてから行います。
相続した物件・将来の相続のご相談を
「相続した物件の価値を知りたい」「将来に備えて今の名義を確認したい」など、日本語でお気軽にご相談ください。弁護士・税理士へのご相談の前の整理もお手伝いします。
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売却や相続には、米国の会計士・弁護士、日本の会計士(税理士)との連携が必要になることがあります。状況はお一人おひとり異なりますので、この記事だけをもとに売却や賃貸のご判断をされず、まずは「どこに、どのような相談をするのがよいか」を、下記フォームからお気軽にお問い合わせください。
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